2019年4月4日 第14号

 ケベック州北部にある先住民コミュニティの学校で3月28日、アマチュア無線による国際宇宙ステーション(ISS)との交信が行われた。

 この学校は、ニューファンドランド・ラブラドール州との州境に近い、人口900人弱の町カンジッカルジュジュアックにある、幼稚園児から12年生までが通うウルリアク校。当日は地元コミュニティの人々も含め約300人が集まり、ISSに滞在しているカナダ人宇宙飛行士デビッド・サン=ジャックさんと交信、様々な質問を投げかけていた。

 この交信イベントは、生徒たちに理系キャリア(STEM-jobs in science, technology, engineering,and math)に対する興味を引き出す、ISSアマチュア無線プログラムの一環として行われた。交信の様子はカナダ宇宙局により、ユーチューブでライブ配信が行われた。

 質問は多岐にわたり、宇宙船内でくしゃみをしたらどうなるかといった日常的なものから、宇宙に出るには何分かかるのか(10分)、ISSに到着するのにはどれくらいかかるのか(約6時間)といった科学的なものまであった。

 またサン=ジャックさんと彼の家族はいつでも交信できるのかという問いに対しては、サン=ジャックさんからは呼び出しできるものの、家族のほうからは呼び掛けられないと、彼は答えていた。ISS内にWi-Fiはあるのかという問いには、利用可能なものの、衛星を経由するため速度は遅いが、それでも電子メールはちゃんとチェックできると、サン=ジャックさん。

 なお医師であるサン=ジャックさんはかつて、ケベック州北部のヌナビク地域で医療活動に従事していた。サン=ジャックさんの宇宙活動に関する広報を担当するアニー・ベランジャーさんは、サン=ジャックさんがいつもケベック州北部の先住民の笑顔を宇宙に連れて行くと語っていたことに触れ、先住民族の協調性や芸術、何事にも屈しない快活さから刺激をもらっていると取材に答えていた。

 

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