2019年4月4日 第14号
大麻の使用が、子育て中の母親や妊婦に良い影響を与えるという主張を、インターネット上で続けている女性グループがある。
グループ代表のひとりであるカリーン・シールさんは、合法化されたとはいえマリファナ吸飲者に対する否定的な固定観念のため、マリファナを使用している母親たちは、そのことを家族などに知られないように多大な労力を強いられていると主張。そんな呪縛から自らを解き放つために、マリファナ使用についての肯定的な面を世間に啓蒙する目的でフェイスブックのグループ『デ・フルール・マ・シェール(Des fleures ma chéreー私の愛しい花)』を立ち上げた。
「今でも人々は、マリファナ吸飲者はだらだらと、TVの前でピザを食べ続けていると思い込んでいる」と取材に語るシールさん。しかし彼女は大麻を使用しながら家事をこなし、子供たちと遊んでいるし、普段よりも子供に対して辛抱強くなれると話し、大麻が自分をより良い母親、より良い人間にしてくれると主張する。
カナダ保健省は、受動喫煙の危険性から、母親に大麻を使用しないよう勧告している。さらに子供に対する注意力や緊急時のとっさの判断や行動力を鈍らせる危険性にも触れている。
しかしシールさんの主張に賛同し、フェイスブック・グループに参加している女性の数は何百人にも上っている。その中には起業家や精神科医、ファッションモデルのほか写真家など、様々な職業を持つ人もいるという。またケベック州モントリオール市に拠点を置く別のフェイスブック・グループ『聖母マリア(Mother Mary)』は、メンバー5千人を擁するなど、母親や妊婦の大麻使用を肯定的に捉える女性の数は確実に増えている。
シールさんは二人目の子供を身ごもった時、大麻から抽出された、向精神成分が入らないオイル(CBDオイル)を使用した。その前に処方されていたオピオイド鎮痛剤を使用していた時はひどい睡眠障害に悩まされたのだが、このオイルを使うようになってからは、普段と同じように眠ることができたと話している。
しかし『マリファナに関する21の語られない事実』の著者でもある医師のアントニー・カナムガイヤーさんによると、THCと呼ばれる向精神成分は胎盤を通じて胎児に達するため、胎児は母親の摂取量の10〜30パーセントを取り込むことになるという。そのため、妊婦は大麻使用を控えるようアドバイスしているほか、大麻は胎児の中枢神経系や免疫システムの発育に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘している。