2019年4月4日 第14号

 ケベック州で3月28日、宗教的なシンボルの着用を禁止する法案が議会に提出された。可決すれば、公的機関に従事する職員が公務に就いている時間に限り、宗教的シンボルとみなされる服装が禁止されることになる。

 宗教的シンボルには、イスラム教のニカブ、ヒジャブ、シーク教のターバン、ユダヤ教のキッパ(男性が被る小さな帽子)や、キリスト教の十字架などが含まれる。

 州政府機関で働く職員、州立学校の校長、教師、弁護士、裁判官や、銃器を携帯している警察官、裁判所の警備員などが対象となる。ただし、既得権者除外条項の適用により、法律が施行される以前からその職に就いていた者については免除される。

 ケベック州ではイスラム教の女性が顔全体を覆うニカブと呼ばれる服装に対して、これまでもさまざまな法案でニカブ着用を制限する方法を模索してきた経緯がある。前自由党政権からその傾向はあったが、昨年誕生した保守系CAQ政権はこれを公約とし、過半数で選挙に勝利した。

 CAQフランソワ・レガルト州首相は、今回の法案を「我々の価値とその重要性を示したものになった」と主張した。 同州首相は、法案に多くの州民が支持するための試みとして州議事堂の議長席の頭上に設置されている十字架像を取り外すことを約束している。この十字架像は1936年に設置されて以降、外されたことはないという。

 一方で、各界から非難する声が相次いでいる。ジャスティン・トルドー州首相は同日、「現代の自由社会で市民が宗教によって差別される法案を合法化することがまかり通ることが信じられない」と語った。

 自身もシーク教徒としてターバンを着用している連邦新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首は、宗教的な差別ということだけではなくこうした職業を目指す子供たちの夢を奪うことになると非難した。

 レガルト州首相は、できれば夏までに法案を可決したいと意欲を見せている。

 

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