2019年3月28日 第13号
オンタリオ州トロント市にある高層マンションの地下駐車場で、中国人留学生が男らに拉致された。警察では犯人の動機を調査するとともに、さらわれた留学生を追っている。
場所はトロント市の北、人口33万人弱のマーカム市の高層マンションで、23日午後6時ごろのことだった。誘拐されたワンツェン・ルーさん(22歳)は、高級SUVのレンジローバーから女性と降りて、エレベーターに向かっていた。その2人の後ろに黒いミニバンが停車し、中から出て来た3人の男がルーさんをミニバン内に引きずり込もうとした。ルーさんは必死に抵抗したものの、犯人の一人がスタンガンを用いて電気ショックを与え、ルーさんを車に押し込み現場から逃走した。
同地区を管轄するヨーク地区警察によると、ルーさんはトロント市内の学校に通う留学生だが、どの学校に通っているかは明らかにされていない。警察は中国総領事館と協力し捜査を進めている。
駐車場の防犯カメラからは、犯人グループはドライバーを含む4人組であることが分かっている。また犯行に使われたミニバンは、車いすの乗り入れを容易にする改造がなされた車で、車の側面に身障者マークのステッカーも貼られていた。ただ車に付けられていたナンバープレートは、盗難届が出ていたものに換えられていた。
警察は24日、誘拐時の服装のルーさんの写真と、防犯カメラに映っていた犯人らの画像を公開して市民からの情報提供を呼び掛けていた。警察では、何故ルーさんが誘拐されたのか、その理由を含め捜査を続けている。また一緒にいた女性は精神的に大きなショックを受けたものの、身体的危害は加えられなかったという。
ルーさんが住んでいる高層マンションの住人の一人は、入り口のゲートを開けるリモコンがなければ入れないはずの駐車場に、どうやって犯人が忍び込んだのか不可解だと取材に語っていた。
ヨーク地区警察からの連絡を受けて、中国にいるルーさんの家族はトロントに向かった。なおルーさんはレンジローバーのほかに、超高級車のランボルギーニやロールスロイスも運転していた。