2019年3月28日 第13号

 際限なく膨張を続け、ついに先月22兆ドルを突破したアメリカの債務を少しでも軽減させるため、米モンタナ州を1兆ドルでカナダに売却すべきだと主張する人物が、オンライン上で署名活動を開始した。

 モンタナ州は国境を挟んでアルバータ、サスカチワン、およびブリティッシュ・コロンビア州と接する、面積約38万平方キロメートルの州。これは42万4千平方キロメートル弱のカリフォルニア州に次ぐ、アメリカ国内で4番目に広い面積となる。

 オンライン上の請願書サイトを立ち上げたイアン・ハモンドと名乗る人物は、アメリカの債務は大きすぎる一方、モンタナ州はビーバーなどしかいない使い道のない州だという持論を展開している。明らかに冗談で始められた請願ではあるが、1万人を超える署名が集まった。この反響には当のハモンドさんも驚きを隠せないようだ。

 この請願に対するモンタナ州民の反応は様々だ。メディアのインタビューに対しある人は、国の債務のごく一部を返済するのと引き換えに、モンタナ州が欠落した醜いアメリカの地図を受け入れることは、アメリカ国民として耐えられないと答えている。その一方で、「引っ越し費用もかからずカナダ国民になれるなんて。ぜひ実現を」と、オンライン請願書のサイトにコメントを書き込むモンタナ州民もいた。また同州の地方紙グレートフォールズ・トリビューンのコラムニスト、クリスティン・インボディさんはカナダのメディアに対し、モンタナ州民はカナダの合法化されたマリファナや健康保険制度、アメリカより良質のお茶、そしてコーヒーチェーンのティムホートンズなどに魅力を感じているようだと語っていた。さらに同州下院議会の委員会で、この件が議論された際には、反対15票、賛成5票でカナダへの売却が否決されたことを引き合いに出し、全会一致での否決ではなかったことを指摘している。

 

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