2019年3月21日 第12号
がんによる右足切断後、がん治療の啓もうと研究資金を募るためにカナダ横断マラソン「希望のマラソン」に挑戦したテリー・フォックスさん。道半ばにして病のため断念せざるを得なかった彼だが、そんな彼が国道沿いを走っている写真には、伴走していた小型バンが写っていたのを覚えている人も多いのではないだろうか。
「希望のバン(Van of Hope)」と呼ばれたこの車は、フォード社製のエコノラインという車種で、1980年型。テリーさんがニューファンドランド・ラブラドール州セント・ジョンズ市を出発してから、オンタリオ州サンダーベイ市手前でマラソンを中止するまでの143日間を共に走ったこの車が、19日から24日までBC州バンクーバー市で開催されるモーターショーで一般公開される。
弟のダレル・フォックスさんは、今でも当時の光景をまざまざと思い出すと、取材に語っている。バンの中は靴や衣類、またテリーさんがバンの中で寝る時に使用していた寝袋などが散らかっていたという。さらに臭いもこもっていたが、逆にこの臭いでバンに人が寄り付かないと思うと、バンの中は安全に感じたとも話している。
当時のことを覚えている人にとっては、バンは「希望のマラソン」を象徴するものであり、また、この40年前のことを歴史上の出来事として知った人にとっては、バンを見ることがテリーさんの偉業を再確認する良い機会になるのではないかと語るダレルさん。バンを公開することで、テリーさんの遺志と彼にまつわる記憶が、後世に引き継がれることになると付け加えている。