2019年3月7日 第10号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー空港で2日、機内食に自分が食べられるメニューがなかったことからビジネスクラスの乗客の男が怒り出し、いったんゲートを離れて離陸準備中だった飛行機が引き返す騒ぎが起きた。

 この飛行機は、オンタリオ州トロント行きのエアカナダ118便。午後2時出発予定の同便は、出発準備が整いゲートを離れた時点で、すでに1時間ほど遅れていた。滑走路へ向かう間、客室乗務員が機内食のメニューをビジネスクラスの乗客に説明し始めた時、この事件が起きた。

 その場に居合わせた目撃者によると、この男は自分の食べたかった魚料理がないとわかると攻撃的な物腰になったという。客室乗務員は終始冷静かつ丁寧に、いくつかの可能な選択肢を述べたものの、男は自分は肉や小麦が入った料理が食べられないと言い張り、客室乗務員に罵声を浴びせるようになった。男は酔ってはいなかったようだという。むしろ落ち着いた調子で「魚料理がないのは問題だ。とにかく私が魚を調達するから、それをそっちが調理して出すか、自分で調理して自分で食べるかだ」などと言っていたという。

 この騒動に対し機長は男を降ろすことを決め、飛行機はゲートに戻った。

 男が去り一件落着かと思いきや、この騒ぎで生じた遅れによって、操縦席の2人のパイロットの勤務時間が、航空法で定められている1日の勤務時間の限界に近づいてしまった。法定内の勤務時間に抑えるため、同便の操縦を他のパイロットに交代する必要があるとのアナウンスが、機長からなされた。

 いったん待合室に戻され待たされていた乗客らが、再び同機に搭乗しバンクーバー空港を離陸できたのは、当初の出発予定から5時間半遅れの、午後7時30分だった。そして目的地のトロント空港に着陸したのは、日付が変わった3日の午前2時30分すぎとなり、到着後の予定をキャンセルしなければならない乗客もいた。

 魚料理を得られなかったことに子供じみた態度を取ったこの男を、他の乗客全員が迷惑がっていたと、目撃者は語っていた。

 

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