2019年2月21日 第8号

 マニトバ州西部で原油を運ぶ列車が脱線し、オイル漏れを起こしていることが16日、分かった。カナダナショナル(CN)鉄道が発表した。

 脱線事故が起きたのはサスカチワン州との境に近いセント・ラザレで、同日午前3時30分ごろに発生したとみられている。事故によるけが人はなく、火災も発生していないという。

 しかし原油を積んだ車両が37台あったことから、深刻なオイル漏れを引き起こしている可能性がある。CN鉄道は車両からオイルが漏れていることは確認しているが、脱線した車両数やオイル漏れの量については正確には分かっていない、現在も調査中と18日時点でメディアを通して発表している。

 ただ、近くを流れるアシニボイン川を汚染した可能性はないと発表している。CN鉄道の環境専門家が清掃に関わっており、線路はすでにクリアになったため、18日の時点で列車の運行が再開していることも発表した。事故原因については引き続き調査中としている。

 カナダでは現在原油の輸送をめぐって、列車輸送よりも安全なパイプラインでの輸送を保守党などが訴えている。パイプライン建設をめぐっては自由党ジャスティン・トルドー政権が、アルバータ州からブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビーまでのトランスマウンテン・パイプライン拡張工事を承認したが、アルバータ州からBC州北西部までのノーザンゲートウェイパイプライン建設、アルバータ州からケベック州を通って東海岸に抜けるエナジーイーストパイプライン計画については撤回。承認されたトランスマウンテンも裁判所によって工事停止が言い渡されている。パイプライン推進派は、こうした列車事故が起きたことで、その危険性を指摘し、パイプラインの安全性を主張している。原油の列車輸送事故では、2013年7月ケベック州レック-メガンティックで列車の爆発事故が起き、47人が死亡している。

 アルバータ州政府は19日、CNとカナダ太平洋(CP)鉄道から同州のオイルサンド輸送のため4400台の車両をリースすることで合意したと発表した。アメリカや海外市場へと輸送するためという。最初の輸送は今年7月頃に開始する予定で、一日2万バレルを輸送する。2020年中頃には、一日12万バレルを運ぶ予定としている。

 

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