2019年1月24日 第4号
先週末、北米東海岸を襲った寒波で離陸できなくなった旅客機の中で、乗客が16時間以上缶詰にされた。
この旅客機は、19日夜に米ニューヨークから香港に向けて飛び立ったユナイテッド・エアラインの179便。途中で乗客に緊急医療事態が発生したため、ニューファンドランド・ラブラドール州のグースベイ空港に緊急着陸した。この乗客を降ろしたのち、再び香港へ向け離陸の準備を始めた同便だったが、客室ドアが閉まらず出発できなくなった。航空会社は、厳しい寒さのために凍り付いたことが原因ではないかとみている。
すでに夜遅く、同空港では深夜の入出国管理を担当する係官がいなかったため、250人の乗客は飛行機から降りることができなかった。乗務員からはほとんど説明がなかった上、外気温は氷点下30度近くまで下がり客室内はきわめて居心地が悪くなった。同便に乗り合わせていた、中国で開催されるイベントに向かっていたプロレスラーのソンジェイ・ダットさんは「寒さと疲労、空腹」と表現、この仕事で20年以上毎週のように世界を飛び回っているが、こんなひどい状況にはいまだかつて出合ったことがないと語っていた。
積み込まれていた食料は底をつきかけてきたが、閉じ込められて10時間ほどたった頃、ティムホートンズから食料が届けられた。
ドアを修理するための整備員が到着したのは、20日の午前も遅くなってからだった。さらに修理には時間がかかることが明らかになり、乗客はニューヨーク空港に戻るために用意された飛行機に移された。航空会社はこの状況に対し、できるだけのことをしたと説明しているが、ダットさんから見ると、航空会社は誠実かつもっと頻繁に乗客とコミュニケーションを取るべきだったのに、そうだったとは思えないと取材に語っている。