2019年1月24日 第4号
アメリカでは予算案が成立しないことの影響で、一部政府機関が閉鎖されたり、職員が無給で働いたりする事態となっている。旅客機の運航に欠かせない航空管制官もその例外ではなく、およそ1万人の航空管制官が昨年の12月下旬以来、無給で働いているという。この事態に対しカナダの航空管制官が、アメリカの航空管制官にピザをおごる運動が全国的に広まっている。
カナダ航空管制協会のピーター・ダフェイさんによると、この活動が始まったのは10日、アルバータ州エドモントンの航空管制センターの職員が、米アラスカ州アンカレジの航空管制官のためにピザを買うお金を出し合ったのがきっかけだった。エドモントン航空管制センターはアルバータ州の空域だけではなく、北極圏を含むカナダ北部空域の西半分の管制も担当している。また両国の航空管制官は、北米の航空管制のために毎日のように会話しており、共同体意識が自然とつくられている。
この活動は瞬く間にカナダ全土の管制官の間に広がり、ダフェイさんが電話取材に語ったところによると、13日までに約300のピザが、米国内各地の36の管制施設に届けられたという。そして、その数は現在も増加しているとのこと。
航空機の安全を担う航空管制官の仕事は、とてもストレスフルだとダフェイさん。レーダースクリーン上に映し出される無数の航空機を、無線交信だけでコントロールする彼らには、常に100パーセントの完璧が要求され、一瞬の遅れも許されない。
あるカナダの航空管制官は、『ピザ基金』に500ドルを寄付した。また別の管制官は、米アリゾナ州フェニックスにある2つの管制センターで働く職員の昼食代を自腹で賄った。これは毎冬、カナダ西部からアメリカに渡るカナダ人の安全を守ってくれることへのお礼だと、この管制官は語っていた。