2019年1月24日 第4号

 連邦自由党は19日、2月に実施されるバーナビー・サウス選挙区の補欠選挙に、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州議会元自由党議員リチャード・リー氏を擁立すると発表した。

 自由党はカレン・ウォン氏の擁立を決めていた。しかしスターメトロ・バンクーバー紙が、同氏が中国語のソーシャルメディアで同選挙区に立候補している連邦新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首に対して、彼はインド系カナダ人だから唯一の中国系カナダ人候補者である自分に投票した方がいいと民族的な違いを訴えていたと掲載。16日にウォン氏が立候補の取り止めを自由党に申し出て、こうした発言は党のポリシーに反すると党が了承したと発表した。

 しかし、17日になってウォン氏が自由党候補として立候補に再挑戦したいと党に訴えていたことが分かった。同日、記者会見を開いたウォン氏は、ソーシャルメディアへの投稿は自分が書いたものではなく、ボランティアスタッフがウォン氏のアカウントに書いたものだったと説明。しかし責任は自分にあると語ったが、これで自分が差別主義者のレッテルを貼られるのは納得がいかないと語った。

 自由党は17日、ウォン氏を擁立しないという党の決定は変わらないと発表。この時点では次の候補を擁立するかどうか未定と回答していた。

 というのも、対抗馬となるNDPシング党首が当選した方が今秋の総選挙で自由党に有利だとの公算が働いているという内部事情があると多くの専門家がメディアで解説した。

 現在シング党首のNDPは支持率がかなり低い。シング党首が党を率いて総選挙で戦ってくれた方が、補欠選挙でシング党首が敗けて新たな党首でNDPの支持率を回復させるよりは戦い易いとの思惑があり、2月4日の候補者締め切りまでに候補を立てない可能性もあるのではとの意見も出ていた。

 そうした中で19日にリー氏の擁立を発表した。リー氏はバーナビー・ノース選挙区でBC自由党議員を16年間務めたが、2017年の選挙で敗れた。

 今回のバーナビー・サウス選挙区の補欠選挙は、NDPシング党首が立候補していることから全国の注目が集まっている。この選挙区は2期連続で、元NDP議員で現バンクーバー市長のケネディ・ステュワート市長が当選してきた選挙区。今回もシング党首が有利と言われているが、厳しい戦いになると予想されている。

 争点は経済と環境と住宅問題。保守党からはジェイ・シン氏が、カナダ国民党からはローラ-リン・テイラー・トンプソン氏が立候補している。投票は2月25日に実施される。

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。