2019年1月10日 第2号
アルバータ州で今春に実施される州議会選挙に新民主党(NDP)から立候補を決めていたブライアン・ピンコット氏が出馬を辞退することが1月1日分かった。自身のフェイスブックで12月31日に公表した。
カルガリー‐アカディア選挙区で立候補が決まっていた元カルガリー市議のピンコット氏は、候補者として州民が望む議員としてやっていける自信がなくなったと語り、「過去数カ月間はうつと闘う日々だった」と明らかにした。
同氏は2017年9月に自身がうつだったことを公表した時には、それまでの4年間うつと闘ったことで公表する決意をしたと語っている。
昨夏にもうつの症状が現れたが、主治医と相談して薬により症状を抑えNDP候補者として挑戦することを決意したとも語っている。しかし、その後に症状が悪化。今回の辞退を決意したと語った。
今度のアルバータ州選挙はかなり激しい選挙戦になることが予想されている。原油価格の下落による石油・ガス産業の悪化、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事の停滞、炭素税をめぐる連邦政府との確執などアルバータ州に吹く向かい風が強くなる中、NDP政権は厳しい選挙戦になるとみられている。
ピンコット氏は「多くの人が今度の選挙は、アルバータ州の選挙ではこれまでにないくらい汚くて、厳しい選挙戦になると予想している。私も同感だ」と語っている。
アルバータ州では2015年の選挙まで約40年にわたり政権を取ってきた進歩保守党に変わり、NDP政権が誕生した。当初は順風満帆だったNDP政権も石油産業の低迷と連邦政府との確執が大きくなるにつれ厳しい政権運営を強いられている。そこに保守系2党が統合した連合保守党(UCP)が誕生。党首には連邦政府元国防相のジェイソン・ケニー氏が就任し、現在支持率でNDPをリードしている。アルバータ州では久しぶりに保守系政党が野党として戦う選挙となるため、激しい選挙戦になることが予想されている。
ピンコット氏は自身のコメントの最後に、ポピュリスト的な発言は国境の南からだけでなくカナダ国内からも聞こえていると警鐘を鳴らし、「2019年がすべての人にとって素晴らしい年になることを願っている」と締めくくった。