2019年1月10日 第2号

 今秋実施される総選挙を前に自由党政権ジャスティン・トルドー首相の支持率が政権交代する1年前の保守党前政権のスティーブン・ハーパー前首相とほぼ同じとなっていることが3日、世論調査で分かった。

 世論調査会社ナノス・リサーチとインスティテゥート・フォ・リサーチが昨年11月30日から12月5日までに電話とインターネットで行った調査によると、トルドー首相の実績に対して「良い」、「まあまあ良い」と答えたのは35パーセントだったと発表した。

 この数字は2014年のハーパー前首相の37パーセントと類似しているという。トルドー首相は2015年の総選挙でハーパー保守党政権に大勝し政権を奪回した。

 ただ当時の状況と現在とは簡単に比較できないため数字がすべてではないが、カナダが正しい方向に向かっているかという質問に対する答えでは、トルドー首相が政権を取った当初の2015年には63パーセントだったが、今回の調査では47パーセントと大きく低下した。

 ナノス調査会社のニック・ナノス氏はカナダ国民の典型的な傾向として政権が交代した直後には、カナダは正しい方向に進んでいるという回答を示すが政権が長くなっていくとそれが変化していくと分析している。

 一方、毎年実施される世論調査会社イプソス社による家計状況を国民がどのように感じているかの調査結果が発表された。2018年12月に実施された2019年への見通しに関する調査では、「良い」と感じていると答えたのが71パーセントで、2017年の80パーセント、2016年の75パーセントを下回った。また家計状況が現在「良い」状況と答えたのは2018年は61パーセント、2017年が66パーセント、2016年は62パーセント。2019年に備えて貯金を十分にしているという人は64パーセント、2017年は72パーセント、2016年は65パーセントだった。

 ほとんどの調査結果で2018年が最も低くなっている。トルドー首相は2015年に政権を取って以降、中間層の経済的な向上を目指すと繰り返し訴えてきたが国民が必ずしも経済状況が良くなったと感じていない実態が浮き彫りになった。

 これが今年の選挙にどう影響するのか。選挙は今年10月に実施される。

 

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