2018年12月6日 第49号
カナダ政府クリスティア・フリーランド外務相は11月29日、サウジアラビア人17人に対し制裁を課すと発表した。トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館でのサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害に関与したためと説明している。
フリーランド外相は記者会見で、「対象となっている17人については、カナダへの入国禁止とカナダ国内にある資産凍結が含まれる」と語った。
20カ国・地域(G20)首脳会議出席のためアルゼンチンのブエノスアイレス入りしていたフリーランド外相は「ジャマル・カショギ氏殺害は許しがたい行為であり、表現の自由と報道の自由に対する攻撃を意味する」と述べ、今後もこの件に関しては独立した国際的な捜査を求めると語った。
カショギ氏殺害への関与が疑われているサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子もG20に参加。カナダ政府が皇太子と面会するのかとの質問については明言を避けた。
カナダ政府は今年8月、カナダ国籍を持つ人権活動家二人の解放をフリーランド外相のツイッターで訴えたところ、外交問題に発展したという経緯がある。今回のカショギ氏の殺害についても、サウジアラビアが関わっていることが明らかになった時点で、同国と契約している戦車などの戦闘車両輸出を巡ってカナダ国内では契約を白紙に戻すよう野党新民主党(NDP)などが要求しているが、自由党政権はこれまでのところ、この件についても明言を避けている。