2018年11月8日 第45号

 第一次大戦で、カナダ軍4個師団が1万人を超える死傷者を出しながらも勝利を収めた、カナダ史上最も重要な出来事の一つである、1917年のビミー・リッジの戦い。

 この北フランスの丘での戦闘で生き残ったレスリー・ミラー中尉は、その記念として、戦場に落ちていた樫の木の実(どんぐり)を持ち帰り、故郷のオンタリオ州スカボロー市の農場に植えた。

 新世界に根を下ろした樫の木は、今でも10本が同じ場所で成長している。そして今度は、この樫の木を故郷であるビミー・リッジに送り返すプロジェクトが実現しようとしている。ビミー・リッジは、その時の砲撃の激しさから全面焼け野原となり、現在では樫の木は生息していない。

 カナダでこの『ビミー樫』を見守ってきた非営利団体ビミー・オークス・レガシーが、2000年台半ばからこの企画を進めてきていた。2015年に『ビミー樫』の若芽が、別の樫の木に接ぎ木され、同州南部の町ダンダスの種苗園で育成されている。そして、この樫の木はビミー・リッジ頂上に建つ記念碑カナディアン・ナショナル・ビミー・メモリアルに隣接する、新しい公園に移植される。

 この広さ1・6ヘクタールの公園は、ビミー財団によって造られ、終戦記念日であるリメンバランス・デーを目前に控えた9日、開園式が行われる予定。公園は、戦闘に参加した4つのカナダ師団を象徴するように、4重の同心円の植樹がなされるほか、丘の頂上にそびえるモニュメントに向かって一直線に延びる遊歩道がデザインされている。

 

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