2018年9月27日 第39号

 連邦政府アマルジート・ソーヒ天然資源相は21日、トランスマウンテン・パイプライン拡張工事について、カナダエネルギー委員会(NEB)に22週以内に再調査した結果を発表するよう指示したと発表した。

 アルバータ州エドモントン近郊からブリティッシュ・コロンビア(BC)州バーナビー市までの既存のオイルサンド輸送パイプラインを拡張するというトランスマウンテン計画については、2016年11月にカナダ自由党政権が承認した。しかしこの計画は、環境保護活動家や関係する先住民族、さらにBC州バンクーバー市、バーナビー市が、強い反対を表明していた。

 そして今年8月30日には連邦上訴裁判所が、全会一致で工事の差し止めを決定した。理由は、先住民族に十分な説明がされておらず合意が得られていないこと、NEBの環境基準には海洋生物への危険性が考慮されていないことが挙げられていた。

 連邦政府はパイプライン拡張工事を必ず完成させるという姿勢を崩しておらず、今回、まずはNEBの環境基準の見直しを図るために再調査を指示したとみられている。

 22週間以内という期限については、来秋の総選挙を見据えているのではと指摘されている。秋の選挙戦でパイプライン完成の目途を訴えるには、夏までには工事を開始しておく必要がある。そのために、まずは春までに環境基準を整え、足固めをしたい考えとみられている。

 ただ先住民族の強い反対による今回の判決結果だったため、現在は反対している先住民族が工事合意に至るのは難しいのではとの見方もある。

 ソーヒ天然資源相は、先住民族との「意義ある話し合い」への計画と、連邦政府が今後裁判所の判断に対して上訴するかについては、後日発表すると語った。

 

 

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