2018年8月23日 第34号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島東岸中部の町クオリカム・ビーチ付近で最近、全身が白いワタリガラス(Raven)が目撃された。

 撮影に成功した地元アマチュアカメラマン、マイク・イップさんは2007年以来、こうした白いワタリガラスを目撃、撮影してきた。現役時代は数学教師だったイップさんは、これまでに3冊の鳥の写真集を出している。彼によると、この鳥の噂はそれ以前にもゴルファーたちから聞いていたという。また彼によると、この付近に住み続けている正常な(黒い)ワタリガラスのつがいが毎年、1〜2羽の白いヒナを生んでいるとのこと。ワタリガラスの寿命は短くとも20年といわれ、またつがいは生涯添い遂げるという。

 しかし2013年に一羽、2014年にも別の一羽を目撃した後、白いワタリガラスは全く姿を現さなくなり、イップさんは親鳥のどちらかが死んだのではないかと考えていた。今年、ほぼ4年ぶりに目撃された白いワタリガラスは、以前の白いワタリガラスと同じ親から生まれているものとみられている。

 この地域で見られてきた白いワタリガラスは、アルビノ個体(色素欠損のために白色となった個体)ではなく、何らかの染色体異常によって本来の色が薄められたものとみられている。そのため全身白色だけではなく、クリーム色やカプチーノ色、または白のまだら模様の個体も生まれる可能性があると、米ワシントン州大学で博士課程に在籍するカエリ・スウィフトさんは説明している。

 BC州大学内にあるビーティ生物多様性博物館の法医学鳥類学者でキュレーターのイルディコ・ザボさんによれば、この染色体異常により、3種類のうち2種類のメラニン色素(ユーメラニンとフェオメラニン)のどちらかの生成が阻害され、結果として極めて色の薄いワタリガラスになったのだろうと説明している。

 いずれにせよ、染色体異常による白いワタリガラスは極めて珍しく、イップさんによると30年以上前に同州北部のハイダグワイの件や、イギリス・デュラム地方での三つ子の白いワタリガラスの報告があるぐらいだという。

 BC州はワタリガラス以外でも白色動物の報告が多い。中部海岸域に生息するブラック・ベアの亜種になる白いカーモード・ベア(スピリット・ベア)のほか、同島中部の都市ナナイモ沖のニューキャッスル島ではブロンド色のアライグマが見つかっている。

 

 

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