2018年8月16日 第33号
ケベック州モントリオール市で発掘中の、先住民イロコイ族の遺跡から、650年ほど前とみられる遺物が大量に出土し、この地での先住民の歴史解明につながると期待されている。
発掘現場は、リッツ・カールトン・ホテルやマギル大学などもある同市中心部の、ピール通りとシェアブルック通りの交差点付近。2016年より発掘が進められているが、これまでに何千という遺物が見つかっている。多くが調理などに用いられた土器だが、中には陶器製パイプや、ベルーガの歯などもあった。ベルーガの歯が何に用いられたかは不明だが、セントローレンス川下流のケベック・シティ近辺に住んでいた同族の別コミュニティから得たものだろうと考えられている。
発掘を進めている考古学者のロナルド・トレンブレイさんは、この遺跡調査は大発見だと取材に語っている。この遺跡は1859年にも、土器が発見されたのをきっかけに発掘が行われている。放射性炭素による年代測定では、60パーセントの結果から14世紀後半、1375年前後という、予想をはるかに上回る古いものと判定され関係者を驚かせている。
一方、以前カナウェーク・モホーク評議会議長に選出されたことのあるクリスティーン・ザチャリー・ディオムさんは、今回の発見は自分が子供の頃に聞かされていた、モホーク族がはるか昔から同地で暮らしてきたという先祖の話と一致しており、素晴らしいことだと話している。
モントリオール市ではモホーク族のメンバーがこの調査に加われるよう、彼らに考古学のトレーニングを提供している。さらに遺跡を記念して、土器のデザインをあしらった格子状の鉄製側溝蓋を、現場に設置することも検討されている。