2018年8月16日 第33号

 ブリティッシュ・コロンビア州ビクトリア市議会は9日、同市役所前に設置されているカナダ初代首相ジョン・マクドナルド元首相の銅像を撤去することを決定、11日に撤去した。

 撤去の理由は、初代首相がカナダ先住民族に対するレジデンシャル・スクール制度を実質的に指揮した人物で、現在カナダ自由党政権が進める先住民族との「和解」政策に逆行するとして市議会で決定した。

 しかし、カナダを建国した英雄として称えられている一面もあり、初代首相の撤去には賛否両論が沸き起こった。

 11日の撤去作業中には、撤去反対派と賛成派が市役所前に集まり、それぞれの主張を繰り広げた。撤去作業は厳重な警備の中で行われた。

 撤去反対派は、銅像を撤去したからといって初代首相の先住民族に対する政策の歴史まで掻き消せるわけではないと主張。一方、賛成派は、「和解」政策が進められる中、銅像を見るたびに嫌な思いをする国民がいることは市役所前の銅像としてはふさわしくないと理由を語っている。

 ビクトリア市リサ・ヘルプス市長は、今回の決定は1年間の話し合いを重ねたうえでの市議会の決定であり、撤去することで賛否両論が巻き起こることは覚悟していると語った。

 撤去した後には、銅像跡の説明をしたプレートが設置された。しかし、12日には、そのプレートに傷がつけられていることが発見された。市はすぐに修復したと発表した。

 また14日になって、オンタリオ州進歩保守党(PC)政権シルビア・ジョーンズ旅行相から、撤去した初代首相像を引き受けたいという申し出があったことが明らかになった。この日のオンタリオ議会でジョーンズ大臣は、ビクトリア市の決定を非難、オンタリオ州が喜んで引き受けると語った。

 ビクトリア市長は、銅像は市に寄贈されたものであり、ビクトリア市で大切に保管すると語り、オンタリオ州の申し出を断ったことを明らかにした。

 

 

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