2018年7月5日 第27号

 赤地に黄色で、工業労働者を表すハンマーと、農民を表す鎌を描いたソビエト連邦の国旗。これをあしらったウオッカが、ウクライナ系カナダ人団体の抗議を受けて店頭から回収されることになった。

 ウオッカの名前は『ハンマー・アンド・シックル(鎌)』。名前も、ラベルにあしらわれたソ連の国旗も、かつてこの国が行った差別主義と大量虐殺を表すものだとして、この商品の撤去を求めていたのはカナダ・ウクライナ人評議会。同評議会のエグゼクティブ・ディレクター、イホール・ミハルチェシンさんは、この国旗はナチス・ドイツのカギ十字に匹敵すると批判、同団体の抗議を受けてケベック州が今年2月に、またアルバータ州が最近、店頭からの回収を決定したことを取材に明らかにしている。

 一方、このウオッカの製造元、米マサチューセッツ州に本社を置くクリン・グループは、メディアの取材依頼には応じていない。しかしそのウェブサイトには、このウオッカをロシアの最高級ウオッカだとうたい、過去の遺産の上に今の我々が成り立ち、我々はそれを崇拝し祝福すると書かれている。

 しかしミハルチェシンさんやその家族、祖先、そして何百万人の人にとって『ハンマーと鎌』はレトロ・クールなどとは程遠く、「何百万人の人が、ソ連時代の体制によって拷問や迫害を受けてきた。それはウクライナ人だけにとどまらない。カナダ人も、その事実を知るべきだ」と指摘。

 アルバータ州酒類および娯楽委員会は、カナダでは記念日としても制定されている(毎年11月第4土曜日)、ソビエト連邦が1930年代に構成国のひとつウクライナ共和国で行った大量虐殺事件『ホロドモール(Holodomor)』に触れ、このウオッカの不適切さを説明し即座に販売停止したとの声名を6月27日に発表している。

 

 

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