2018年7月5日 第27号

 オンタリオ州政府は7月3日、同州が導入していた環境対策キャップ&トレード制度から撤退すると発表した。

 今回の措置は先週発足した進歩保守党(PC)新政権が、選挙期間中に公約として掲げていた環境対策炭素税制度からの撤退を実現する第1歩となる。

 PC政権は撤退を実現することで、ガソリン代を1リットルにつき10セント安くするほか、光熱費も引き下げる狙いがあるという。

 さらに、企業に課している事実上の炭素税支払い義務をなくすことで、企業の競争力を高めるとしている。

 オンタリオ州政府は、キャップ&トレード制度は同州民や企業に約80億ドルを課していたにもかかわらず、効果はほとんどなかったと声明で廃止の理由を発表している。

 しかし、すでに導入された制度を利用するために、約30億ドルに値する許可証を購入している企業にとっては、これらの費用が無駄になる可能性があり、州政府が何らかの補償をしなければならなくなるのではと予想されている。もし州政府が補償しなければ、州政府を相手に訴訟が起こる可能性もあると指摘する専門家もいる。

 さらに、連邦自由党政権は、全国横断的炭素税導入を2019年1月から実施することをすでに決定している。

 オンタリオ州以外ではケベック州も導入しているこのキャップ&トレード制度は、連邦政府が導入する炭素税と同等の効果があると政府が認めている。これを廃止するとなれば、それ相当の環境対策制度がオンタリオ州に必要となる。

 今回のオンタリオ州政府の発表について、連邦政府キャサリン・マッケナ環境相は「オンタリオ州政府が気候変動への対策に関心がないことが明らかになった」と批判。カナダ政府としては、今後も環境と経済の両立を目指して対策を続けると声明を発表した。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。