2018年7月5日 第27号

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が、カナダからアメリカに輸入される鉄鋼・アルミニウムに対して課した高関税に対抗する報復関税を7月1日から開始すると、カナダ政府が6月30日、その詳細を発表した。

 鉄鋼の町として知られるオンタリオ州ハミルトン市で記者会見を開いたクリスティア・フリーランド外相は、報復関税実施について「カナダが(貿易戦争を)助長するつもりはないが、引き下がるつもりもない」と語った。

 カナダ政府は報復関税と同時に、国内の鉄鋼・アルミニウム産業への補償も発表。最高20億ドルを関連産業も含めて補償すると発表した。

 フリーランド外相は、アメリカのロバート・ライトハイザー通商代表とは継続的に連絡を取っていることを明かし、この問題の解決のために会談する用意があるとも語った。

 今回カナダ政府が発表したのは、アメリカからカナダに輸入される製品に126億ドル相当の関税を課すというもの。そのほとんどが鉄鋼・アルミニウム製品。100品目以上の鉄鋼・アルミニウム製品に25パーセントの関税を課す。さらに生活に密着する製品にも10パーセントの関税が課せられる。それらの中には、コーヒーやヨーグルト、オレンジジュース、醤油、トマトケチャップなどが含まれている。リストにある商品でもアメリカ以外の国からの輸入品に関税は課せられない。関税はアメリカの高関税が撤廃されるまで続けられる予定。

 トランプ政権は安全保障上の問題を理由に6月1日からカナダを含め、メキシコ、欧州連合(EU)からの鉄鋼・アルミニウム製品に対しても、25パーセント・10パーセントの関税を上乗せすることを発表。これに対して各国が報復措置を発表している。

 カナダは現在、アメリカ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)についても交渉中で、アメリカの高関税措置はNAFTA交渉を有利に進めたい狙いがあるともみられている。トランプ大統領はNAFTAに否定的な考えを示している。

 

 

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