2018年6月14日 第24号

 カナダのケベック州シャルルボワで8日から開催された主要7カ国(G7)首脳会議が9日に閉幕。7カ国で署名する首脳宣言に米国ドナルド・トランプ大統領が承認しないという異例のG7となった。

 トランプ大統領は7カ国中最後にカナダ入り。今回が大統領に就任して以来、初のカナダ訪問となったが、9日の閉幕を待たずに途中退席して帰国。1泊だけという駆け足のG7となった。

 議長国カナダのジャスティン・トルドー首相は、今回の議題に、幅広く成長が期待される分野への投資、将来的な雇用問題への準備、気候変動・海洋汚染・クリーンエネルギーへの取り組み、性別による平等性と女性の権利、安全で平和な世界の構築を掲げていた。

 しかしアメリカ以外の6カ国の最大懸念材料は、アメリカによる鉄鋼・アルミニウムへの6カ国に向けた高関税だった。

 トランプ政権は、5月31日にこれまで免除していたカナダ、欧州、そしてG7には参加していないメキシコにも、鉄鋼で25パーセント、アルミニウムに10パーセントの関税を上乗せすると発表。特にカナダは大部分をアメリカに輸出しているため、打撃が大きく、今回のG7でもトランプ大統領との直接対談で説得するとみられていた。

 しかし結果は期待通りとはいかなかった。9日、閉幕後の記者会見でトルドー首相は、先週アメリカのテレビ局で語った「正直侮辱的だ」とのカナダの見解を改めて示し、「我々カナダは、丁重で、理性的だが、決して言いなりになるつもりはない」と語り、国民の利益のために必要なときは立ち上がると今回、高関税措置についてはアメリカとの対決姿勢を鮮明にした。

 トランプ大統領は9日ツイッターで、自分が退席した後にトルドー首相が記者会見で語った言葉を非難。結局、トランプ大統領がG7首脳宣言を承認しないという異例のG7の幕引きとなった。

 また海洋汚染対策として議題に挙がったプラスチックごみの削減目標については、アメリカと日本が署名を拒んだため、5カ国とEUのみで承認した。

 

 

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