2018年5月31日 第22号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市が連邦裁判所に、オイル漏れを起こした船舶の所有者に対して賠償請求をしたことが分かった。27日にバンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長が記者会見で明らかにした。訴えたのは今年4月6日。

 ロバートソン市長によると、2015年にバンクーバー市ダウンタウンの西側にあるイングリッシュ・ベイで、キプロス船籍のMVマラサッサ号が起こした2700リットルのバンカー重油漏れ事故の清掃作業のために、バンクーバー市が約55万ドルを負担したという。

 その後、バンクーバー市として連邦政府の船舶によるオイル・ポリューション・ファンドに申請したが、費用の27パーセントしか補償を約束できないと返事が来たと説明。市長は、カナダの海岸で起こった事故のために市が負担してすでに3年が経っているにもかかわらず、国のこうした対応は「到底受け入れられない」と連邦政府の対応を批判した。

 これがオイルサンドだったらその影響は計り知れない。キンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプラインが拡張されれば、タンカー数は大幅に増加、その影響の本当の意味をまだ連邦政府は理解していないと語り、パイプライン建設への懸念は増すばかりだと主張した。

 今回の賠償請求は被害を出した船舶の所有者を直接訴え、費用負担分を取り戻したいとの考えがあるとみられているが、もう一つの目的としてオイル漏れ事故の危険性を、このタイミングで周知させる意図も記者会見の中で垣間見られた。

 

 

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