2018年5月17日 第20号
ブリティッシュ・コロンビア州教育省が行った検査で、多くの学校などで水道水から基準値を超える鉛が検出された。
この検査は2016年から2018年にかけて行われてきたもので、今年は500の学校など教育施設から検査結果が報告された。その結果、全体の約25パーセントにあたる120を超える施設で、カナダの基準値である飲料水1リットル中の鉛含有量0・01ミリグラムを上回っていることが明かになった。中には基準値の100倍を上回るところも8件あった。
BC州で教育施設での鉛汚染の検査が始まったのは、2016年秋からだった。1990年以前に建てられた施設や、以前に鉛汚染の結果が出た施設に対し、3年毎の検査が義務付けられ、これまでのところ、BC州全体の約3分の2に当たる教育施設で検査が実施されてきた。
同州教員連盟は、鉛汚染は看過できない問題だと指摘している。世界保健機関(WHO)や米国小児学会によれば、鉛汚染には安全と呼べる許容値はないとされる。たとえごく微量であっても、鉛は子供の脳の発育に悪影響を及ぼし、知的障害や注意欠陥・多動性障害(ADHD)を引き起こす。
また鉛は大人に対しても様々な悪影響を及ぼす。BC州サイモンフレーザー大学で鉛などの毒物が人体に与える影響を研究しているブルース・ランフィアーさんによると、妊婦が重金属の影響を受けた場合、早産になる可能性が高まるほか、新生児の体重が通常より軽いことがあるという。そのほか心臓疾患や肝臓障害などの危険性を高めると、ランフィアーさんは説明している。
しかし専門家は、カナダの基準は健康被害を防ぐには緩すぎると指摘している。そのため、基準値を現在の半分にする提案が政府によって検討されている。しかしメディアが情報公開法に基づき入手した、これまでの学校での検査結果によれば、この基準を適用した場合40パーセント以上の学校の飲料水が検査には適合しなくなるという。
いずれにせよ、検査結果が得られたことは歓迎すべきことだと、同州のロブ・フレミング教育大臣はコメントしている。検査結果に基づき州政府は、鉛がとけ出す古い水道管の取り替えや浄化システム導入のための補助を行っている。昨年12月には6つの学校に鉛汚染対策として75万ドルを拠出したほか、州全体でこの問題に取り組むため650万ドルを投資することにしている。