2018年4月26日 第17号

 ペルーの先住民族長の老女が殺された事件で、地元民にその犯人と思われたカナダ人がリンチを受け、死亡した。

 事件が起きたのは現地時間19日、ペルー内陸部のブラジルとの国境に近いウカヤリ県のジャングルにある文化共同体の中。

 殺されたのは、81歳になるシピボ=コニボ族の族長の一人で、シャーマンでもあるオリビア・アレバロ・ロマスさん。彼女は先住民の権利保護活動家としても知られていた。

 彼女は銃弾を2発受けて自宅で死亡しているところを発見されたが、彼女にヒーリングを受けに来た外国人が発砲したと、ロマスさんの親せきなど地元住民が語っているという。現地ではこれまでも、先住民の所有地で違法なアブラヤシ栽培や伐採などを行う業者に抗議してきた先住民活動家の未解決の殺人が何件も発生しており、ロマスさんの死が彼らの怒りを爆発させたものとみられている。

 彼らが犯人と信じたのは、同地を何度も訪れているカナダ人で、ブリティッシュ・コロンビア州コモックス出身のセバスチャン・ウッドロフさん(41歳)。彼の遺体は、殺人現場のロマスさんの自宅から約1キロ離れた場所に埋められていた。体には殴られた形跡があり、死因は首を絞められたことによる窒息死。

 地元警察は、ロマスさんが射殺された当時の状況を調べるとともに、ロマスさんとウッドロフさん二人の殺人事件解決に全力を尽くすと海外メディアに語っている。しかし今の時点では容疑者を特定するには時期尚早だと付け加えていた。

 カナダ外務省は、先住民の人権活動家であるロマスさんの死に哀悼の意を表すとともに、カナダ人が事件に巻き込まれ死亡したことについて、現地領事館が遺族と連絡を取っていることを明らかにしている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。