2018年4月12日 第15号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーに住むB・J・マクヒューさんは90歳になったが、今でもフルマラソンに参加する現役だ。

 それどころかこれまでに、数々の世界記録も樹立している。最近では昨年12月、第45回ホノルルマラソンを、90歳以上部門のそれまでの記録を2時間も短縮する、6時間47分31秒で完走した。

 90歳ともなるとタイムも伸びないし、大会に参加するのはもういいと語るマクヒューさんが、マラソンを始めたのは50代後半からだった。かつて、娘のジェニファーさんを、水泳トレーニングのためバンクーバー中心部のプールまで送り迎えしていた頃、待っている間の時間つぶしに、とスタンレーパークのシーウォール遊歩道を散歩していたのがきっかけだった。やがて散歩がランニングになり、その気分爽快さから、あっというまにやみつきになってしまった。

 そしてマラソン大会に出場するようになったマクヒューさんに、世界各地の大会から招待がかかるようになった。2009年のローマ大会では、世界トップクラスの招待選手に混じって、先頭集団でスタートを切った。以来ロンドン、ボストン、ニューヨーク、シカゴのほか、カリフォルニア州のビッグ・シューア大会など20以上のフルマラソン大会に出場、そのうちのいくつかでは女性85歳ー89歳部門や総合82歳ー88歳部門などで新記録を樹立している。

 そんなマクヒューさんには4人の子供と4人の孫がいるが、彼らの多くもマクヒューさんと一緒にマラソンを楽しんでいる。そして、かつてプールに送り迎えをしていた娘のジェニファーさんは、カナダの水泳選手として、ミュンヘンオリンピックに出場している。

 昨年90歳という大台を迎えたマクヒューさんだが、「結局、90という数字に過ぎない。走っていると世界がバラ色になる」と語り、これまで通りだと取材に語っている。もちろん、この歳で走りつづけることは容易ではないが、マクヒューさんはいつも「これが最後のマラソンになる、あとはもうない」と自分に言い聞かせているという。こうして目標を定めた後は、それを固く心に保ち完走することを目指していると、取材に話していた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。