2018年4月5日 第14号

 オンタリオ州自由党政権は3月28日、2018年度の予算案は67億ドルの赤字予算になると発表した。2019年度は66億、2020年度は65億の赤字で、黒字転換するのは2024年度と予測している。

 今回の予算案には、3月に自由党政権が発表したプレスクール・チャイルドケアの無料化、シニアへの処方薬無料化、さらには一般健康保険に含まれない新薬、歯科への保険の実施が含まれている。そのため、昨年11月時点では黒字転換するはずだった予算案が大幅な赤字予算となった。

 2020年9月から開始されるというチャイルドケアの無料化では1世帯子供一人につき約1万7千ドルが政府によって補助されることになる。カナダ最大州のオンタリオにとって莫大な費用が掛かることは間違いない。

 キャサリーン・ウィン州首相は、「州民にとって、特に女性の社会進出にとって非常に重要な政策」とその必要性を強調した。

 しかし自由党はこれまで約15年政権を担っている。その間も、チャイルドケアは女性にとって必要な政策で、なぜこれまで実施していなかったのかと野党は批判した。

 今年に入り、自由党の相次ぐ大規模政策の背景には、今年6月に控える州選挙がある。現在、自由党は支持率で進歩保守党にリードされている。

 進歩保守党は今年に入り、女性への性的不適切行為でパトリック・ブラウン前党首が辞任し、その後の紆余曲折を経て3月10日にダグ・フォード氏が党首に決まった。

 フォード氏は元トロント市議で、弟のロブ・フォード氏は元トロント市長。お騒がせ市長として世界に名を馳せたが、ガンのため逝去。その後、ダグ・フォード氏が後を継いで市長選に出馬したが落選した。ところが今回の進歩保守党党首辞任を受け、真っ先に立候補。有力な女性候補を押さえ党首に就任した。フォード党首については、オンタリオ州内で人気は二分していると言われている。

 そうした党内の騒動にもかかわらず、選挙を2カ月後に控えて相変わらず進歩保守党のリードは続いている。

 今回の自由党の相次ぐ大盤振る舞いな政策には党の焦りが見えるとも指摘されている。

 

 

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