2018年3月22日 第12号

 オンタリオ州自由党政権は20日、65歳以上の処方薬無料化を提案した。キャサリーン・ウィン州首相は、約4400種類の処方薬を2019年8月1日から無料にすると語った。コレステロール、高血圧、糖尿病、ぜんそくの薬も含まれる。

 無料化に伴う費用は年間5億7500万ドルと試算。自由党政権によるとこれにより平均で年間一人約240ドルの処方薬代が軽減されるという。

 自由党政権は今年度80億ドルの赤字予算となる。来年度以降も黒字転換する兆しはない。しかしウィン州首相はオンタリオ州で経済的に苦しんでいる州民を助けるためには必要な歳出と語った。自由党は昨年すでに24歳以下の処方薬の無料化を実現する保険制度を設定している。

 こうした大盤振る舞いの背景には、今年6月に実施されるオンタリオ州選挙がある。16年間続いてきた自由党政権への批判は厳しく、苦しい選挙戦が予想されている。さらに最近の世論調査では、自由党は支持率で野党進歩保守党(PC)にリードされているという結果が出ている。

 野党PCは紆余曲折を経ながらも今月10日、新党首にダグ・フォード氏を選出した。税金を州民に還元することを公言しているフォード党首は、トロント市議時代に当時市長だった弟ロブ・フォード前市長と節税に成功した実績を訴えて、オンタリオ州選挙も戦う姿勢を示している。

 世論調査会社メインストリートが20日に発表した結果によると、PCの支持率は47パーセントでトップ、次いで自由党が26・2パーセントと大きく引き離されている。さらにアンドレア・ホーワス党首率いる新民主党(NDP)の18・6パーセントにも追いつかれそうな勢い。ちなみにグリーン党は6・ 4パーセント。

 トロントの都市部ほど自由党の支持率が高いが、それでもPCを下回っている状況。これを選挙までに逆転するために、大盤振る舞いが続いているとみられている。

 

 

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