2018年3月8日 第10号

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は2日、アメリカに輸入されるスチールに25パーセント、アルミニウムに10パーセントの関税を掛けると発表した。

 これまで国内のスチール産業は不公平な扱いを受けてきた、国内産業を保護する必要があると語った。

 中国からの輸入を意識した対策だが、全ての国が対象になるという。

 これに反応したのがカナダ。カナダのスチール・アルミニウム産業は、その90パーセントをアメリカへの輸出に頼っている。そのため関税が実施されればオンタリオ州ハミルトン市のスチール産業が大きな打撃を受ける。

 ジャスティン・トルドー首相は、今回のトランプ大統領の発表にカナダとして「受け入れ難い」と、強い口調で記者団に語った。

 さらに、今回のトランプ大統領の発表にはアメリカ国内からも批判の声が上がっている。スチールの価格が上がれば、それを材料としている産業にも打撃が起きる。飲料用缶や自動車産業などが反対しているほか、その産業が中心産業の選挙区国会議員からも反対の声が上がっている。

 アメリカ最大のスチール輸入元は中国ではなくカナダ。アメリカの輸入量の約16パーセントを占めている。そのためカナダを免除することを推す声も聞こえている。

 しかしトランプ大統領はこれまでのところ、免除する国を作るつもりはないと語っている。

 カナダ、アメリカ、メキシコは現在、メキシコで北米自由貿易協定(NAFTA)の合意に向けた話し合いを行っている。こちらも合意への道筋がほとんど見えない中、メキシコの大統領選も近づき、ますます不安定になっている。

 カナダでは、もしアメリカが関税を実施した場合、対抗措置の必要もあるのではないかとの意見も持ち上がっている。

 

 

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