2017年12月7日 第49号
ジャスティン・トルドー首相は12月2日から中国を訪問、加中自由貿易協定などについて話し合われたとみられている。
自由党政権は自由貿易に積極的に取り組むとして、保守党政権時代から交渉中だったカナダ欧州貿易協定の締結を実現。アジアとはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加している。
今回はTPPに参加していないアジアで最大、世界第2位の経済大国中国との自由貿易協定を目指すための訪問とみられていたが、4日現地で記者会見したトルドー首相は、自由貿易協定の話し合いを正式に開始することすら実現しなかったことを明らかにした。
トルドー首相は「カナダと中国の建設的な自由貿易協定への実現に向けた話し合いがこれからも続くことをうれしく思う」と語った。
カナダは自由貿易協定に、男女平等、労働者の権利、環境問題などを盛り込んでいるとされている。さらに人権についても中国とは隔たりがあるが、中国側は人権についてカナダと2国間で協力していく用意があると発表している。今回は、キャノーラ、牛肉、豚肉の中国への輸出を促進すること、環境問題への取り組み、旅行業の拡大で合意したと発表した。
人権問題については、中国は現在、ブリティッシュ・コロンビア州ワインメーカーのジョン・チャン氏を拘留中で、今回の訪問で同氏の釈放が実現するかにも注目が集まっている。
現在中国はカナダにとって、重要な貿易相手となっているが、中国からカナダへの輸入がカナダから中国への輸出の2倍となっている。
自由党政権は現在、アメリカ、メキシコとの3カ国による北米自由貿易協定(NAFTA)の交渉を続けている。アメリカのドナルド・トランプ大統領が就任後、アメリカに貿易赤字をもたらすNAFTAを撤廃することも辞さないと発言するなど交渉が難航している。さらにTPPでは、ベトナムで11月に行われた11カ国による会議で土壇場になって基本合意への署名を拒否し、他の参加国から非難を浴びた。