2017年11月23日 第47号
ブリティッシュ・コロンビア州の男性が、自転車で坂道を駆け上がるヒルクライムを1年間続け、18日にはその累計登坂標高差が100万フィート(約305キロメートル)に達した。これはエベレスト山の標高の約33倍、富士山ならば約81倍の高さになる。
この男性は、ノースバンクーバーにある入江の町ディープコーブに住むトラビス・シュトレーブさん。彼はこの1年間、町の裏側にあるシーモア山の頂上に通じる登山道路を自宅から毎日、自転車で駆け上っていた。その標高差は約1000メートル。
ファシリテーター兼エグゼクティブコーチとして忙しい日々を過ごすシュトレーブさんにとって、この日課をこなすのは容易なことではなかった。どうしても都合がつかなかった日には、仕事に出かける前に半分を、そして残り半分を仕事の後に行ったこともある。また1日1回という帳尻を合わせるため、1日に10回登坂したこともあったという。登りそこなった日があると、次の日からは「なんとか今週中にこの遅れを取り戻さなければ」というプレッシャーにさいなまれたという。
ここまでシュトレーブさんが目標にこだわったのは、すい臓がん研究への寄付金集めのため。すい臓がんは生存率が約6パーセントと低く、その体験談を語れる人や研究のための寄付金集めをする機会が少ない。
ところが、シュトレーブさんの属するサイクリングクラブの創設者の義理の母親がすい臓がんで亡くなったことから、クラブはこのがんの研究のための寄付集めを行うことにした。その結果、これまでに集まった額は250万ドルに達しているという。今回のシュトレーブさんの活動にも、すでに1万ドル以上が寄せられている。
「たとえ困難が立ちはだかっていても、得られるものはある。今回の挑戦もそうだし、すい臓がんについても、同じだと信じている」と語るシュトレーブさん。ヒルクライム100万フィートの目標は達成したものの、さらに多くの人にすい臓がんのことを知ってもらおうと、今年いっぱいはヒルクライムを続けるつもりだ。