2017年10月12日 第41号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市役所は、家庭から出る使用済み調理オイルを台所の流しから下水に流さないよう、市民に周知徹底させるキャンペーンを始めた。
使用済みオイルは下水管の中で固まり、氷山ならぬ『油山(fatberg)』になって下水を詰まらせる。同市ではこうした詰まりの除去や損傷部分の修理のため、毎年200万ドルの予算を組んでいる。 家庭で調理して残った油を、お湯や洗剤で溶かして下水に流せば大丈夫と思っている人は多い。しかし油は下水管に流れ込むと再び凝固し始め、髪の毛やウェットティッシュ、おむつなどとも絡み合いながら『油山』を形成する。その硬さはコンクリート並みになると、メトロバンクーバー上下水道委員会の委員長を務めるダレル・マサット・ノースバンクーバー市長は取材に語っている。 先月には英国ロンドンの下水道で、長さ250メートルになる『油山』が発見され、メディアでも大きく取り上げられた。その重さは130トンになるとみられ、これを完全に除去するには3週間はかかるだろうと言われていた。
バンクーバー市ではそのような事態が起こらないよう、啓蒙キャンペーン『ふき取り、コンポストへ(Wipe It, Green Bin It.)』を展開し始めた。そのタイトルのとおり、調理で残った油は流しに捨てるのではなく、紙などで拭き取り、リサイクルのためコンポストへ捨てるよう呼び掛けるものだ。同様の取り組みは、すでにメトロバンクーバー内のサレー市とリッチモンド市でも始められており、明らかに下水道の汚れ具合が軽減し、清掃費用も減少するなどの効果が表れている。
多くの自治体が行っている有機物リサイクル・プログラムでは、少量の油や脂肪を受け付けている。ある程度のまとまった量をリサイクルしたい場合には、所定のリサイクル施設へ持ち込む必要がある。
また使用済みオイル以外で、家庭内から下水に流してはいけないものに、ウェットティッシュがある。パッケージには下水に流しても大丈夫なような表記のものも見かけるが、実際には下水管のなかでは分解されないという。そのほかデンタルフロス、ティッシュペーパー、タンポンや化粧用コットンボール、毛髪も下水には流してはならないとのこと。