2017年10月12日 第41号
サスカチワン州南部の人口1100人ほどの町グラベルバーグは、20世紀初頭のフランス系移民の集団入植から、その歴史が始まった。今でも人口の20パーセント余りが、フランス語を第一言語としている。
そんなバイリンガルの町が、警察官不足に悩んでいる。この何カ月かの間、4人が勤務するはずの同町の警察署では3人分のバイリンガルのポジションが空いたままになっている。唯一のバイリンガル警察官は妊娠中のため内勤だけとなり、911番通報に対応できる警察官は1人だけ。さらに、その警察官がしゃべれるのは、英語のみ。
警察官の数が減少しては町の治安に不安が残るとして町長と町議会は、連邦警察(RCMP)と対応を協議した。連邦警察側は警察署の4人分のポジションのうち、2つをプライオリティ・ワン(バイリンガル)からプライオリティ・トゥー(英語のみだが、フランス語の訓練を受け2年以内にバイリンガルとなることが条件)に変更、これによって警察官を一人、同町に派遣することができた。またRCMPは町側に対し、残りの2つのポジションについてもプライオリティ・トゥーにすることを、RCMPに要請するよう促した。
公務員の言語に関する条例により、人口の5パーセント以上がフランス語を第一言語とする地域では警察官にバイリンガルを義務付けられている一方、最終的にどのような形で住民にそうしたサービスを提供するかはRCMPが決められることになっている。
RCMPによると、警察官不足はカナダ全体で起こっており、全国平均で6・6パーセントのポジションが空いたままになっているという。
同町のフランス語人口の割合は年とともに減少しているものの、バイリンガルのコミュニティであることを誇りにしている町長は今回の措置について、バイリンガルの警察官バイリンガルの警察官、不足がいなくなることより、警察官ゼロとなることのほうが町としては深刻な事態になるとして、苦渋の選択だったとメディアに語っている。