2017年9月21日 第38号
ブリティッシュ・コロンビア州新民主党(NDP)政権は18日、政党献金を制限する法案を提出した。
これまで無制限だった企業、組合、BC州外からの献金を禁止とし、個人献金も年間1200ドルを上限とすること、献金パーティーでは出席者一人当たり100ドルを上限とすることが盛り込まれた。
さらに、第三者機関が政党や政治家の選挙広告のために集める献金についても上限を設け、広告は政策のみとするとしている。選挙活動費も約25パーセント削減する。
政党献金改革については、NDPとグリーン党が今年5月に行われた選挙の公約として掲げていた。BC州前自由党政権時代は、企業、組合だけではなく、州内外を問わず海外からも献金を受け取っていた。あまりの無制限ぶりに、ニューヨーク・タイムズが今年1月に「ワイルド・ウエスト」として記事を紹介し、話題となった。
BC自由党クリスティ・クラーク前州首相は、1人1万ドルの献金パーティーを開いたり、BC州以外でも献金パーティーを開催したりするなど、批判が高まっていた。
その自由党は今年5月9日の選挙で過半数を獲得できず少数派政権となった。そして選挙後に少数派政権として再開した議会での開会の式辞に、自由党も、企業・組合からの献金を禁止し、個人献金上限5千ドルを盛り込んだ。
しかし自由党政権はすぐに不信任決議され、7月NDP新政権が誕生。今回のNDPの政党献金改革は公約を実現したということになる。
ビクトリア市で記者会見したデイビッド・イービー司法長官は、「この法案がNDP政権の政治から大金を排除するという公約を実現することになる」と述べ、BC州の選挙法に大きな変化をもたらすと語った。
ジョン・ホーガン州首相は、「今回の法案で、今年の選挙が党の献金額が影響する最後の選挙となる」と語った。
今回の法案では、今年5月の選挙までに集めた政党献金を次の選挙のために使用することも禁止している。これらの献金は他の目的には使用できる。
政党献金については、すでに全国的に厳しい規制をする動きが活発になっている。今回のBC州の一人当たり年間1200ドルは最も厳しい規制の一つだが、ケベック州では年間一人100ドルとしている。また企業や組合からの献金禁止は、連邦政府、アルバータ州、マニトバ州、ノバスコシア州、オンタリオ州、ケベック州ですでに決定している。
今回の改革で企業・組合献金禁止の公約は果たせるものの、一方で、献金として集められない分を税金で補うことも法案に盛り込まれている。2018年は有権者一人当たり2・5ドルと設定し、徐々に減額し2021年には1・75ドルとなる。獲得票数に応じて政党に支給される。今年5月の選挙を基に計算すると、NDP、自由党がともに、4年間で約680万ドル、グリーン党が280万ドルを受け取ることになる。
今回の法案では、基本的には献金に関する劇的な変化への対応期間として税金を投入するとし、次の選挙以降も税金を投入するかどうかについては次の政権が検討するとしている。
グリーン党も今回の法案を歓迎し、アンドリュー・ウィーバー党首はBC州の政治を変える歴史的一歩となると評価している。
今後は議会で議論され決定する。現在のところ、少数派政権NDPがグリーン党の協力を得て、このまま可決するとみられている。