2017年8月24日 第34号

 カナダの1ドル硬貨の裏のデザインにもなっており、その鳴き声が特徴的な水鳥、アビ(Loon)。

 今月初旬、アルバータ州の州立公園でキャンプに来ていた家族が、そのアビを救出した。

 場所は同州中西部のフィッシュ・レイク州立公園。家族とともに湖畔でくつろいでいたドン・ギブソンさんは、自分たちのほうに向かって泳いでくるアビを見つけた。躊躇する様子もなく近づいてくるその姿にギブソンさんは最初、実物大のリモコン模型か何かと思ったと、メディアの電話取材に答えていた。

 しかし自分のすぐそばまで来たアビをよく見ると、一般にピッカーレル・リグと呼ばれる、何本かの釣り針とワイヤーがついた釣り糸が水鳥のくちばしから首、そして足に絡まっているのがわかった。

 このままでは餌となる魚やカエルなどを獲ることもできないと思ったギブソンさん。アビもまた岸の浅瀬にとどまり、ギブソンさんたちを見上げていた。アビは自分があと1日程度しか生きられないと思っているようだと感じたギブソンさんは、12歳の息子とともに水鳥を助けることにした。尖ったくちばしにつつかれないように注意しながら近づくと、アビは自分から頭を低くし、ギブソンさんが頭を撫でるのを受け入れた。まったく自分を警戒している様子がないことがわかると、ギブソンさんは水に入り、連絡を受けてハサミを持参してきた公園管理人とともに、絡まった糸を切り始めた。

 この時にはギブソンさんたちのまわりには人だかりができ、この救出劇を見守っていた。首に刺さっていた釣り針も無事取り除くことができ、沖に返されたアビは、待っていた仲間と合流、その場で大きく水面上で伸びをするように翼を広げた。ギブソンさんには、それがまるでお礼を言っているように見えたという。

 次の日、ギブソンさんは5羽のアビがそろってヒナ鳥にエサを与えている様子を確認することができた。

 

 

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