2017年8月17日 第33号

 北朝鮮に拘束されていたカナダ人牧師ヒョンス・リム氏(62)が12日、カナダに帰国した。

 同日、牧師が務めるオンタリオ州ミササガの教会で記者会見を開いた長男ジェームズ・リム氏は、「父が無事に帰国し、また家族一緒になれたのはすごくうれしい」と笑顔で語った。

 父親が釈放されたと知ったのは外務省からの連絡があってから。リム氏は、釈放までの過程は非常にデリケートなものだったと承知していると語り、ジャスティン・トルドー首相と外務省の努力に感謝した。

 トルドー首相は同日、リム氏の釈放について「うれしく、ホッとしている」と声明を発表。リム氏の健康状態を気遣った。またスウェーデン政府に感謝した。カナダは北朝鮮に大使館を持たない。今回の件ではスウェーデン大使館が窓口となった。スウェーデン外務省も今回のことでカナダに協力できてうれしく思うとの声明をツイッターで発した。

 リム牧師は人道的支援を目的に2015年1月に北朝鮮入り。教会によると、その前から100回以上も訪朝して支援を続けていたという。この時も同様の活動で訪朝したが、北朝鮮に拘束され、その後、厳しい肉体労働を課す終身刑が言い渡された。

 しかし家族はリム牧師の体調がすぐれないとの報告を受け、カナダ政府に早急な対応を求めていた。今年6月に北朝鮮で拘束されていたアメリカ人オットー・ワームビアさんがアメリカに帰国して6日後に病院で死亡したことも、牧師の健康状態を心配する理由だったとリム氏は記者会見で語った。

 そして先週、ジャスティン・トルドー首相の国家安全保障担当補佐官ダニエル・ジーン氏ら高官6人が平壌入り。12日には釈放され、北朝鮮から日本にある米軍横田基地に到着し、そこからロイヤル・カナディアン・エアフォースで、グアム、ホノルル、バンクーバーを経由してトロントに到着した。リム牧師は比較的元気な姿を見せ、自身で歩いて降機した。リム氏は、カナダに到着して最初に何がしたいか問われた牧師が「ティム・ホートンズに寄ってドーナツが食べたい」と言ったと笑った。思った以上に元気だが、健康診断は受ける必要があるという。ただ翌日の日曜日の教会には参加する予定と語った。

 

 

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