2017年8月3日 第31号

 ブリティッシュ・コロンビア州クリスティ・クラーク前州首相が7月28日、州議会議員を辞職すると発表した。6月に自由党政権への不信任が決議され、16年間続いた自由党政権が終了、ジョン・ホーガンNDP政権が7月18日の就任式を経て正式に誕生していた。それから10日後の突然の辞職発表だった。

 クラーク党首は、選挙後にはすでに辞職が最善と心の中で思っていたが、発表の時機を見計らっていたとこの日の記者会見で語った。記者会見では、「これが政治家として最後の記者会見」と笑った。

 今後は何も決まっていないという。しばらくは、この日の記者会見に同席した一人息子との時間を過ごしたり、ガーデニングをしたりして過ごしたいと語った。次に何をするかは決めていないが「政治家ではないと思う」と語った。しかし、クラーク党首は時機を見てまた政治に戻って来るだろうとの見方が強い。

 クラーク党首は、1996年に初当選。2001年ゴードン・キャンベル自由党政権が誕生すると、副党首、教育相に就任した。2004年、再選を目指さず一度政界から引退。しかし2005年バンクーバー市長選に出馬し、サム・サリバン氏に候補選で敗れた。2007年からラジオ局でトークショー番組を担当。2010年、キャンベル元州首相がHST導入で州民の不信を買い辞職。2011年の党首選に立候補、党首に就任した。自由党が政権を担当していたことから州首相に就任。キャンベル元州首相の選挙区バンクーバー‐ポイントグレイの補欠選挙で当選した。しかし2013年の選挙では、党は選挙前の劣勢を跳ね除け大勝したが自身は落選した。党首にはとどまったが、議席を持たなかった。そのためケローナ地区で補欠選挙を強制的に行い当選。今年の選挙でもケローナ地区で当選している。

 州首相として、5年連続黒字予算、雇用の拡大、州の好景気を維持したものの、高騰する不動産への対策不足や高額な政党献金制度維持など富裕層を優遇した政策が批判された。また、2013年選挙で州経済の根幹とすると豪語していた液化天然ガス(LNG)産業誘致の失敗や、炭素税率引き上げの凍結、トランスマウンテン・パイプライン拡張事業計画の承認など環境問題対策に消極的だったことも今年の選挙に影響したとみられている。

 自由党は28日間の党首選を行い、9月には新党首を決定する予定になっている。現在のところ、コールマン副党首やトッド・ストーン前運輸相などが立候補するのではとみられている。

 

 

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