2017年7月6日 第27号

 ケベック州ガテノー市にあるカナダ歴史博物館で、大幅に刷新された展示内容が1日より一般公開された。同日午前中に行われたオープニングセレモニーでは、カナダを訪問中のイギリス王室のチャールズ皇太子とカミラ妃がリボンカットを行った。

 午前10時半、メラニー・ジョリー・カナダ民族遺産大臣の出迎えを受けたチャールズ皇太子夫妻は、会場に集まった来訪者たちと握手をしたのち、オープニングセレモニーに参列した。床面積4千平方メートルを超えるこの新しいカナダ歴史ホールの改装には、3千万ドルの費用と5年の歳月がかけられた。

 チャールズ皇太子夫婦に展示内容を案内した同館のリサ・ラブラン開発創造部長は、カナダの歴史を語るのであれば、取りこぼしのないよう全てを網羅する必要があったと語っている。改装前の展示は、ニューファウンドランド・ラブラドール州へのバイキングの到来から、1970年代のバンクーバーまでの歴史を、当時の写真を並べる形で紹介するだけだった。

 しかし、新しい展示では最新のコンピューター技術やAV設備、また貴重な先住民の遺物などを用い、最後の氷河期の後にカナダでの初めての人類の足跡が確認されてから、今日の多文化国家に至るまでの1万5千年の歴史をカバーするようになった。

 その中にはコンピューターによって復元された約4千年前に太平洋岸で生活していた人々や、イロコイ族の複数家族が共同生活していたロングハウスのバーチャル・ツアーなどもある。さらに先住民と異文化の接触(最初はバイキング、そしてヨーロッパからの探検家たち)から発展した歴史的出来事、植民地政策や毛皮貿易、疫病の流行、さらに7年戦争、イギリスと先住民の間で結ばれた条約などにもスポットを当てている。そして2度の世界大戦、先住民への同化教育(residential school)、ケベック州独立運動、多文化主義について紹介するなど、充実した内容となっている。

 来訪者の一人はメディアの取材に対し、高校の歴史で習った出来事を、先住民の遺品などの展示物で確認することができ、とても興味深かったと話していた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。