2017年7月6日 第27号
ジャスティン・トルドー首相は6月30日、ブリティッシュ・コロンビア州で新民主党(NDP)政権が誕生したことについて「歓迎する」との声明を発表した。「BC州民、カナダ国民にとって重要な課題で結果を出せるよう協力していけることを期待している」と続けた。
BCNDPは選挙公約で、トルドー首相が自ら承認を発表したキンダーモーガン社のトランスマウンテン・パイプライン拡張計画に反対。政権実現後にはあらゆる手段を使って計画を白紙に戻すと表明した。そのBCNDPがパイプライン計画反対を訴えていたグリーン党と協力して政権を担っていくことが決定し、パイプライン計画が暗礁に乗り上げる可能性が高まっている。
連邦政府は、現在アメリカ一国に偏っているアルバータ州のオイルサンドの輸出先を拡大するため、まずは需要の高いアジア市場の拡大を狙ってトランスマウンテン計画を承認した。
アルバータ州では連邦政府のパイプイラン計画承認を歓迎し、原油価格急落以来低迷する州経済立て直しへの一歩として期待している。そのため、BC州でパイプライン反対派が選挙で優勢になると、アルバータ州NDPレイチェル・ノッテリー州首相は「州政府は連邦政府が承認した事業を白紙に戻すことはできない」と主張して反論していた。しかし、同州首相は30日にBCNDP政権誕生を歓迎する声明を発表。アルバータとBCは州境を共有する隣人以上の関係であり、両州民のために協力していくことを期待していると語った。
トランスマウンテン計画は、天然資源産業を主要産業とするカナダ経済にも直接影響を与えるため、今後のBCNDP政権の政策に注目が集まっている。