2017年6月15日 第24号

 アルバータ州第3の都市、人口約10 万人のレッドディア市の元市議会議員のジョン・オルドリングさん(64 歳)が、5月25日にエベレスト登頂に成功した。

 オルドリングさんは市議会議員を10 年以上務めたあと、1986 年から1993年までは同州州議会議員も務めていた。

 今回の成功により、オルドリングさんはカナダ人のエベレスト最高齢登頂者となった。  また彼が登頂した5月25日は、頂上アタックに最高のコンディションとなり、オルドリングさんは紺色の空のもと、ゆるくカーブを描くはるか彼方の地平線を眺めることができた。下山後取材に応じた彼は、素晴らしいの一言につきる、エベレストのスケールの大きさには感動しても感動しきれないほどだと語っている。

 オルドリングさんは2015 年にもエベレストに挑戦している。この時、ネパール側の難所とされているクンブ氷瀑に達していたオルドリングさんのチームは、マグニチュード7. 8の地震と、それに伴う雪崩に襲われた。

 彼のチームメンバー8人は無事だったものの、下方のベースキャンプでは22人が死亡、数人がけがを負っていた。

 この事故による精神的後遺症に悩む人が多かった中、オルドリングさんは登頂をあきらめなかった。

 今年になってエベレストでは7人の死者が出ているという。オルドリングさんも4人の遺体が山から運ばれてくるのを見たほか、雪の中に残されている遺体を登山中に目撃している。彼らはその場で一瞬足を止め、犠牲者とその家族、そして自分たちに祈りを捧げたのち、再び歩み始めた。

 最終ベースの第四キャンプを出発してから9時間後、オルドリングさんのチームは午前8時15 分、世界最高峰の頂上に立った。そこで15 分ほど過ごしたのち、下山を開始。登頂の成功は、無事に山を下りることだと語るオルドリングさん、時間的に問題はなかったものの、頂上に長居はしていられなかったと話している。

 カナダ人として、自分がエベレスト登頂に成功した最高齢者になったということは、オルドリングさん自身、下山するまで気が付かなかった。それでも、どんな山に登る時でも自分が最高齢者になるという自覚で準備を怠らなかったと、取材に答えている。いつも可能な限りのトレーニングを行い、スマートで効率の良い登山を心掛けてきたという。チームメンバーに不安を与えるような存在にはなりたくなかったし、今までにそうなったことは一度もないと語るオルドリングさん。

 なお、現在のエベレスト登頂最高齢記録保持者は、日本の三浦雄一郎さんで、2013 年に80 歳で頂上をきわめている。

 

 

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