2017年6月8日 第23号

 オンタリオ州政府は5月30日、最低時給を15ドルに引き上げると発表した。同州キャサリーン・ウィン州首相は、労働時間は長くなり、保証された雇用は少なく、福利厚生が確保されている仕事も少ない、労働者にとって雇用形態はより不利になっていると語り、労働者は公平に扱われるべきと語った。

 同州の最低時給は11・40ドル。2018年1月1日には14ドルに、2019年1月1日に15ドルを実現する。その後は、インフレ率に合わせた上昇率となる。カナダの最低時給は10・72ドルから13ドルまでと州によって異なり、アルバータ州は2018年から時給15ドルに引き上げる。

 今回の最低賃金は、労働条件改善法案の一部で、パートタイムや契約社員の労働条件の改善を目的としている。

 最低時給の他には、有給休暇や病欠時、シフト変更時の改善や、フルタイムとパートタイムで仕事内容が同じ場合は同じ賃金を支払うことなど、雇用主側に改善を求める内容となっている。

 州政府は175人を専門部門に配置し、雇用主やビジネスオーナーなどへの浸透を図っていくとしている。

 しかしオンタリオ商工会議所からは、急激な時給引き上げは中小企業をひっ迫するとの問題点が指摘されている。時給が引き上げられることで雇用者数を減らしたり、商品へと転化したりする動きが出てくると指摘。それでも時給引き上げによる経費を相殺できない場合は、事業を閉鎖するビジネスも出てくるだろうと指摘している。

 これについて州政府は、これから引き上げ実施までに中小企業へのサポートを充実していくと語っている。

 カナダ統計局によると、オンタリオ州の最低時給で働く労働者は約54万人、全労働人口の9・2パーセントと報告されている。また同州の調べでは、オートメーション化や新テクノロジーにより、製造業や労働組合関連の雇用が減少すること予想され、そうすれば同州の660万人の雇用に影響が出ると試算している。

 同州では来年、州議会議員選挙が行われる。ウィン自由党政権はこれまでのところ、支持率では他党をややリードしているが、その差は小さく、選挙対策との声も聞こえている。

 

 

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