2017年6月15日 第24号

 オンタリオ州トロント市と、その郊外のバス・地下鉄を運行するトロント交通局(TTC)は先週、地下鉄の遅延理由の統計を発表した。

 統計が取られた期間は、2014年1月から、2017年4月までで、市内を走る3路線の地下鉄と、東隣のスカボロー市に延びるSRT(スカボロー高速鉄道)が対象。

 この期間中に記録された遅延件数は6万9千件を超え、単純計算で1日に58回の遅延(運行中断)が発生し、その平均遅延時間は1・8分となる。統計は、その原因を187のカテゴリーに分別しているが、主だったものと、それによる総遅延時間は次のとおりだった。

乗客のけがや病気・281時間
不審火や煙・185時間
乗客の迷惑行為・131時間
車両の不具合(ドアの開閉など)・94時間
人身事故・87時間

 このほか、爆破予告が34回あり221分の遅延を引き起こした。また不審物の発見は51回あった。乗務員の勤務拒否は60回発生、車内の衛生状態に問題(排泄物や嘔吐物など)があって運行を中断したケースは、395回に上った。特に大晦日などは件数が激増するため、交通局はフィンチ駅などの終着駅に追加職員を配置して、素早く対応する体制を取っているという。

 ひとたび発生すると処理に時間のかかる人身事故は、2014年から2016年の間は17 件から32件で推移している。交通局と緊急サービス職員が事故処理に当たるが、1件当たりの平均遅延時間は64分となっている。

 駅別でみた場合、ケネディ駅、キプリング駅、またフィンチ駅など終着駅での遅延が顕著だった。これは停車時間が長く、乗務員が車両内外の問題点を発見する機会が増えるためだとしている。終着駅以外では、ブロア=ヤング駅やセント・ジョージ駅といった2路線が交差する大型駅での遅延が目立った。また路線が地上に出るブロア=ダンフォース線のキール駅も遅延が多かったが、これは線路上に障害物(動物や植物)が発見されたり、線路の敷地内を横断する人がいたりすることが原因だとしている。

 統計期間内で最悪の遅延を記録した日は2015年2月17日で、地下鉄駅構内の浸水や、SRT線の車両がトンネル内で故障し立ち往生するなどで、約21時間の遅延を発生した。

 また各車両ごとのデータも公表されており、ブロア=ダンフォース線を走る列車の中で、車両番号5661番が頻繁に故障していることもわかった。この車両は先頭か最後尾の車両だが、ホームでこの車両を見かけたら、次の列車まで待った方が賢明かもしれない。

 

 

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