2017年5月25日 第21号
ブリティッシュ・コロンビア州ペンバートンで毎夏開かれてきた音楽フェスが、7月中旬の開催を前に突然中止となった。
ペンバートンは、スキーリゾートで知られるウィスラーの北約150キロメートルの、人口2500人弱の町。この町で音楽フェスが最初に開かれたのは2008年のことだった。その後、主催者の変更があった2014年からは毎夏開催されてきた。
昨年は、主催者の予想をはるかに上回る18万人の人出で賑わい、この山あいの小さな町を一躍有名にした。しかし18日に突然、同フェスのウェブサイトに今年のイベントの中止と、フェス運営組織が破産したことを知らせるコメントが載せられた。
破算管財人には大手会計事務所のアーネスト・アンド・ヤングが指定された。ウェブサイトのコメントには、破産のため主催団体には購入済みチケットに対する払い戻し能力はなく、購入者は、無担保債権者として、管財人に債権額の申請手続きを行うよう案内がなされている。
つい1カ月前には、今年のフェスのスケジュール(7月13日〜16日)と、参加予定ミュージシャンがウェブサイト上で公表されていた。中には、アメリカの人気ヒップホップアーティスト、チャンス・ザ・ラッパー(Chance the Rapper)や、イギリスのロックバンド、ミューズ(Muse)などが名を連ねていた。
管財人によると、イベント予算は2200万ドルと見込まれていたところ、主催者には820万ドルの収入しかなく、1000万ドル以上の資金不足に陥っていた。イベント費用のほとんどは米ドル建てになっているが、イベントが始まった当初はカナダドルも強く、為替差損も少なかったが、近年のカナダドル安がイベントの経営状態を悪化させてきた。昨年キャンセルに追い込まれるまでの6年間、同様の音楽フェスを続けてきたスコーミッシュ・バレー・ミュージック・フェスティバルも、同じ理由で資金不足に陥った。
この突然のキャンセルにショックを受けているのは、フェスを楽しみにしていた参加者だけではない。地元コミュニティにとっても、このイベントは大きな収入源となっていた。チケット価格には、地元自治体収入分の3ドルが上乗せされていたほか、地元経済活動の活性化につながっていたからだ。
しかし、スコーミッシュ・リロエット地域行政区長、ラッセル・マックさんは、同音楽フェスが毎年赤字を重ねてきていたことを指摘、音楽フェスは長続きしないだろうと思っていたと、取材に語っていた。