2017年5月25日 第21号

 連邦政府キャサリン・マッケナ環境・気候変動相は17日、炭素税導入についての詳細を発表した。自由党政権は積極的に環境問題に取り組んでいくことを国内外に示し、昨年12月には州政府と連邦政府主導の全国的な炭素税導入で概ね合意していた。

 今回発表された内容には、連邦政府の炭素税導入詳細が示され、各州の導入計画がこの基準に満たない場合は、強制的に連邦政府が示した内容が導入される。

 導入は2018年から。初年は二酸化炭素排出量1トンにつき10ドル。毎年10ドルずつ引き上げられ、2022年に50ドルと設定している。ガソリン価格へは、2018年は1リットルにつき2・33セント、2022年には11・63セントが転嫁、家庭用天然ガス暖房費なら、平均的な一軒家で年間約260ドルが転嫁されることになる。

 マッケナ環境相は、この日の記者会見で、連邦政府が徴収した炭素税は「全て」州政府に還元されることを強調。炭素税を導入することで温室効果ガス削減を実現すること、クリーンエネルギー技術を促進することが重要と語った。

 「今回の計画は、全ての州にとって公平で、有益な計画となっている」と語った。

 企業への導入については、2019年1月2日以降と猶予期間を設定している。さらに年間排出量50キロトン以上を対象。天然資源産業が主要産業のカナダにとって企業にも配慮した内容となっている。

 現在、ブリティッシュ・コロンビア州とアルバータ州が炭素税を導入、オンタリオ州、ケベック州がキャップ&トレード制度導入を予定している。

 ほとんどの州が足並みをほぼ揃える中、サスカチワン州政府だけが強硬に反対している。この日、同州ブラッド・ウォール州首相は、改めて反対を強調。強制導入される場合は、連邦政府を訴えることも選択肢の一つと従来の主張を繰り返した。ただ、環境対策に反対しているわけでなく、回復基調にある州経済に影響する可能性のある炭素税導入には賛成できないと説明している。

 炭素税導入は今秋には国会で承認され、その時に導入開始日が決定される。

 

 

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