2017年5月25日 第21号

 アルバータ州では保守党2党の合併が暫定的に合意に達した。進歩保守党ジェイソン・ケニー党首とワイルドローズ党ブライアン・ジーン党首は18日、エドモントンで記者会見を開き発表した。党名は統合保守党とし、今後はすり合わせを行っていく。

 アルバータ州は2015年の選挙で、政権与党だった進歩保守党が左派の新民主党(NDP)に大敗。それまで44年続いた進歩保守党政権が途切れた。

 その大敗の責任を取り進歩保守党ジム・プレンティス党首が辞任。党首選で選ばれたケニー元連邦国防相が党首に就任した。

 アルバータ州は連邦保守党の基盤となっている州で、2015年10月に自由党に敗れるまで10年間政権を担っていた保守党時代に閣僚だった議員も多い。ケニー党首もその一人で、プレンティス前党首もその一人。しかし、その知名度を生かしてまでも2015年州議会選挙で負けた影響は大きく、同州の保守党立て直しが2019年次期選挙に向けて急務となっていた。

 今回の2党の合併について、経済界、特に、天然資源産業界は歓迎している。ケニー党首は保守党が政権を取れば、現在NDPが促進している炭素税導入と石炭発電の廃止などを含めた環境政策を白紙に戻すと約束した。

 ケニー党首は、「まずは炭素税廃止法へ向け動き出し、アルバータ州の経済を立て直し、投資家の信頼を取り戻し、雇用を増やす」と、同日の記者会見で語った。天然資源産業が主力産業の同州は2014年の原油価格急落の影響で経済が落ち込み、歴史的な失業率となっている。

 2015年に保守党政権が大敗した要因は、保守党票が2党の保守党に分裂したことも一因とされている。合併することで保守党票を一つにまとめ、NDPから政権を奪回するのが狙い。

 今後は合併に向けての党内投票が両党で7月に行われる。ワイルドローズでは75パーセント以上、進歩保守党では50パーセント以上の賛成が必要。その後、党首選を行う。今年10月28日には新党首決定を予定している。両党党首とも出馬する意向を示している。

 ワイルドローズ党は2008年に進歩保守党に不満を持った議員が離党して創設。結局、約10年で再統合する。現在ワイルドローズ21議席、進歩保守党10議席、NDPが55議席を確保している。

 

 

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