2017年5月18日 第20号

 バンクーバー市パークボードは15日、賛成多数でバンクーバー水族館での新たな鯨類保有禁止を決定した。決定事項の中には、現在保有している鯨類も含め、水族館でのイルカショーなどへの参加も禁止している。

 バンクーバー水族館では、現在イルカ類など3頭を保有。しかし、鯨類の保有については反対者も多く、反対派はこれまで何度も保有禁止をパークボードに訴えていた。

 今回7人中6人のパークボード委員が賛成に回った背景には、昨年11月、2頭の親子ベルーガが原因不明で相次いで死亡したことがある。水族館では徹底的な原因究明を行ったが、いまだに原因は特定できず、毒による人為的な可能性も残されている。

 今回の決定に水族館側は法的な措置も視野に入れ、戦う姿勢を見せている。同水族館館長ジョン・ナイチンゲール博士は、パークボードの決定後、会議場の周りで保有継続を訴えていた水族館の立場に賛成するサポーターに向け「これで終わりではない。我々はイルカたちに最適な環境を提供するために戦い続ける」と語った。

 バンクーバー水族館は、海洋哺乳類レスキューセンターを保有し、海洋哺乳類の治療、リハビリセンターも兼ねている。カナダ西部沿岸だけでなく、太平洋全般を網羅し、傷ついたイルカやオットセイなどの大型海洋生物は同水族館に運ばれケアされる。こうして運ばれた哺乳類の90パーセントは自然へと返されるが、自然界では生き残れないと判断された動物は水族館で保有飼育している。

 パークボードによると、リハビリセンターはパークボード管轄外にあるため、今回の決定の対象外になるという。水族館側はイルカなどが今後保有できなければ、リハビリセンターで快復した海洋動物を飼育できる場所がないため、大きな影響が出ると主張している。

 

 

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