2017年5月18日 第20号

 アルバータ州レイチェル・ノッテリー州首相はブリティッシュ・コロンビア州の選挙結果でグリーン党がカギを握ることに強い警戒感を示している。16日に記者会見でノッテリー州首相は、一つの州が国全体の経済を左右する政策には賛成できないと語った。

 今月9日に実施されたBC州選挙の結果、自由党が43議席、新民主党(NDP)41議席、グリーン党3議席で、少数派政権になる可能性が高くなっている。最終的な集計結果は今月24日以降に発表されるが、もし少数派政権となれば、カギを握るのはグリーン党となる。

 グリーン党の選挙公約に、州民が購入可能な住宅提供、選挙制度改革、献金制度改革、教育制度の見直し、無料デイケアの提供、富裕層への所得税と法人税の引き上げ、そして、キンダーモーガン・パイプライン拡張計画の停止、シェールガス開発、サイトCダム反対を掲げている。

 グリーン党アンドリュー・ウィーバー党首は、これまでのところ記者会見で、政策ごとに他党と協力していくことを強調している。自由党か、新民主党か、どちらかと連立を組むことは今のところないとみられている。

 そしてNDPもキンダーモーガン計画の白紙撤回を選挙公約にあげている。NDPとグリーンが組めば、パイプライン計画の見通しは不透明なものになる。

 これについて、BC州選挙終了直後に選挙結果について聞かれたジャスティン・トルドー首相は、当選者への祝辞を述べたが、パイプライン計画の影響については言及を避けた。ひとまず静観視するとみられる。

 パイプライン計画については、すでに連邦政府、BC州政府が承認。早ければ今年9月にも着工が予定されている。ただ、環境活動家や先住民族だけでなく、周辺関係者の反対もいまだに根強い。選挙結果がそれを裏付ける形となった。

 少数派政権となれば、クラーク自由党政権はグリーン党の協力なくして、法案成立はあり得ない。自由党は今年2月に発表した予算案を、グリーン党に配慮した内容に再編する必要に迫られている。

 今後、自由党がどのような予算編成とするのか、グリーン党がどのような動きに出るのか、BC州だけでなく、アルバータ州政府、連邦政府、天然資源産業全体が注目している。

 

 

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