2017年5月4日 第18号
州議会議員選挙戦中のブリティッシュ・コロンビア州でクリスティ・クラーク党首の有権者への対応にSNSが炎上している。
きっかけはノース・バンクーバー‐ロンズデール選挙区で立候補しているナオミ・ヤマモト議員と共に4月30日、ノース・バンクーバー市を訪れていたクラーク党首が、有権者に声を掛けられたやり取りがCBCで紹介されたことだった。
有権者が「こんにちは、クリスティ。リンダと言います。私は一度もあなたに投票したことはないんだけども」と声を掛け、「その理由は…」と言ったところで、クラーク党首が「私に投票する義務はないですよ。ここは民主主義ですから」とリンダ・ヒギンズさんの言葉を遮って去って行った。このやり取りをCBCのカメラが捉えていた。リンダさんはクラーク党首が去った後、「あらひどい対応」と言い、「当選しないことを願うわ」とつぶやいた言葉も収録されていた。
これに州民が反応した。ツイッターでは#IamLindaで、これまでのクラーク政権に不満を持っていた人々が、一気に爆発した。クラーク政権政策で嫌な思いをした経験をツイートした。
その中には、リンダさんと職場を共にしたことのあるパウエル・リバー‐サンシャイン・コースト選挙区で新民主党(NDP)から立候補しているニコラス・シモンズ議員のツイートもあった。「昔リンダさんと働いたことがある。今もそうだ」。
しかし、これが自由党の反撃のきっかけとなった。自由党選挙対策本部長が「クリスティ・クラーク(党首)が言った通り、我々は民主主義の中にいる。だからNDPが自由党の選挙活動を(こういう形で)妨害するのも自由だ」とツイート。こうした、リンダさんの行為はNDPが仕組んだものと示唆するツイートが、自由党選挙対策側から続いた。
ところが、CBCのリポーターが確認したところによると、実際には、リンダさんはたまたま夫の通院で同市を訪れていて、偶然クラーク州首相が訪問するのを知って、声を掛けただけだったことが分かった。
元公務員でソーシャルワーカー・アシスタントだったサンシャイン・コースト在住のリンダさんは、NDPシモンズ議員とは、議員になる前に職場が一緒だったという。それでシモンズ議員がリンダさんを知っていただけで、リンダさん自身はNDPとは何の関係もないとテレビインタビューで語っている。
これを受け5月1日にラジオ出演したクラーク党首は、「違う対応があったと思う」と自身の対応について後悔していると語った。しかし謝罪はしていない。自由党も今回の件で謝罪は発表していない。
クラーク党首と自由党は、2月にも同党の内部情報がメディアに流れた時にNDPが自由党のコンピュータをハッキングしたと非難した。しかし、実際には同党サイトの不備から誰でもが閲覧できる状態なっていた情報を、BC州無所属議員が取得してメディアに送っていたことが判明。NDPとは全く関係なく、クラーク党首はNDPジョン・ホーガン党首に、この件について謝罪した。
BC州選挙投開票は5月9日。自由党、NDPは、現在の支持率では接戦となっていると報告されている。