2017年5月4日 第18号

 ケビン・オラリー氏が4月26日、保守党党首選から撤退すると発表した。ケベック州での支持が低いためと理由を説明した。

 この日の記者会見でオラリー氏は、「私自身が、この党首選で勝つ確率はかなり高いと思う。しかし(連邦)選挙では勝てない。理由はケベック州」と語った。

 国政選挙で勝つには最低でもケベック州で30議席が必要だが、「自分はケベック州では12パーセントの支持しかない」。同氏はフランス語も堪能とは言えない。ケベック州で議席数を取れない党首では国政選挙に勝つのは難しいとの持論を語った。

 保守党には党をまとめて、自由党ジャスティン・トルドー首相に勝てる党首が必要。それができるのはマキシーム・バニエ議員と、この日の記者会見に同席したバニエ議員を支持することも表明。オラリー氏を支持する人々に、バニエ議員支持を促した。

 オラリー氏とバニエ議員は保守党党首選で先頭を走っていた。お互いにけん制し合い、オラリー氏はバニエ議員のプリペイドカードを使った偽会員を指摘し、バニエ議員はオラリー氏を「負け犬」と表現していた時もあった。

 しかし、この日のバニエ氏は終始笑顔。「オラリー氏は最強のライバルだった」と語り、「いいレースをお互いにしていたが、今は一つになった」と協力することを強調した。

 オラリー氏は、CBCのビジネス番組「ドラゴンズ・デン」や同局ビジネス情報番組にも出演していたビジネスマンで、政治経験はないが、知名度は非常に高い。その知名度を最大限に利用して、党首選に参戦した1月から党内での支持を伸ばしてきた。特に若者へのメッセージを強く発信し、独自の戦略で注目を集めた。しかし一方で、討論会に欠席したり、過激な発言をするなどの行為を批判する声も相次いでいた。良くも悪くも、保守党党首選に注目を集めたことは評価されている。

 記者会見したこの日は、全党首候補による最後の討論会がトロントで開催される日だった。その討論会開催まであと数時間というタイミングでの党首選からの撤退記者会見。さらに、党員が投票を開始する2日前というギリギリのタイミングだった。

 これで保守党党首選候補者は13人。この後行われた討論会は、オラリー氏撤退のニュースで影が薄いものとなった。保守党次期党首は5月27日に決定する。

 

 

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